その質問、まず来ますよね（苦笑）。グランドハンドリング（以下、グラハン）の仕事に就くきっかけとして、「学生時代に専門的に学んでいたり、仕事への興味や憧れがあったりして…」という答えが多いと思うんですが、ココだけの話、就職活動時に初めて「グラハン」を知ったんです。実は私、グラはグラでも「グランドスタッフ」の方を目指していて。

短大時代に「グローバル観光コース」という観光に関わる業界で活躍するための勉強をして、「空港で働きたい」という軸で就職活動に取り組んでいたんですが、いざ就職となると現実は狭き門で…。行き詰まっていた時に大学の先生から勧められたのがグラハンの仕事で、目線を変えて就活する中で見つけたのがCSSでした。

当社の会社見学に参加した時、航空機を移動させるプッシュバック用の特殊車両に乗せていただいたんです。その瞬間「なんてカッコいいシゴト…」と心奪われて。一目惚れですね（笑）。働く方と同じ目線で、同じ景色を見ると、自分もここで働きたいという気持ちになったんです。とはいえ、グラハンは一にも二にも体力が必要なため、採用が進む中で何度も何度も「本当に大変だけど大丈夫？」と意思確認をしてくださって。そのおかげで仕事に対する覚悟と納得感を持って入社できたように思います。

手荷物サービス課の仕事は、手荷物カウンターで預かったお客様の手荷物を、搭乗する航空機に漏れなく確実に搭載することです。ベルトコンベアを通じてソーティング場（荷さばき場）まで運ばれた手荷物を、便ごとに仕分けし、バルクカートに乗せてランプ課へ引き継ぎます。国際線はさらに様々な条件（クラス、乗り継ぎの有無など）をもとに仕分けますが、いずれもカート内の荷物を安全にどうまとめるか、次の工程を担うランプ課が作業しやすいようにどう載せるべきか、仲間と密に連携しながら進めていきます。

コロナ禍の影響で忙しい時の動き方をまだ十分に経験できてはいませんが、「キレイに積むことが全てではなく、次工程に影響が及ばない環境を作る。そんな積み方が上手い積み方だよ」という先輩の言葉を肝に銘じて取り組んでいます。まだまだ、ですけどね。

そうですね、カートにバゲージ（手荷物）を積み込む時に「この隙間ならバゲージが3つ入る」「こう積み込めば崩れない」といった考え方は少しずつできるようになったと思います。担当する便が決まると、いつ（長期休暇時期や季節など）、どのキャリア（航空会社）で、どんな時間帯に、どういったタイプのお客様か（旅行客、ビジネス客、家族連れかなど）を踏まえて動きを考えつつ、バゲージの特徴や注意すべき点を事前に予測して対策を考えます。

例えば、お土産が多そうならカートはいくつ必要か、紙袋に入った手荷物が増えそうならどんな注意が必要か。あるいは雨風が強くなりそうならどんな配慮をして作業を進めるべきかなど。現場であれこれ思案する時間が短縮でき、よりスムーズに荷物を引き継げるので、タイムプレッシャーは徐々に感じずにできるようになったかもしれません。

いえ、実は入社3年目の夏に大きな失敗をしてしまって…。ちょうど日本国内の移動制限が緩和されて旅行や帰省で遠方へと足を伸ばす人が増え、また海外の出入国者の往来も再開し始めた時期でした。その日の担当は、同じLCC（ローコストキャリア／中小型航空機）から同じ時間帯に出る「沖縄行き」と「福岡行き」の2便。大型航空機の場合は2人1組、中小型航空機は1人で担当するのが基本ですが、出発が同じタイミングという状況もあり、1人で2便の手荷物を仕分ける業務を任されました。

いざ業務が始まると、受付〆切が30分前であるにも関わらず手荷物の到着が遅れていたり、荷物につけられたタグの位置も様々で確認しづらかったり、便数が「581」と「381」と数字が1つ違いで似ていたり。こうした些細なヒヤリ事項が積み重なり、早く時間内に荷捌きしなければという焦りが無意識のうちにあらわれ、「沖縄行きのカート」に福岡便の手荷物を、「福岡行きのカート」に沖縄便の手荷物を載せてしまう“あってはならないミス”をしてしまったんです。

はい、ギリギリのところでミスに気づき、ランプ課の皆さんのサポートもあって無事に入れ替えて出発することができました。しかし、これにより離陸時間が遅れ、お客様やその他の皆さんに大変なご迷惑をかけてしまい、心の底から落ち込みました…。作業に少しでも違和感や不安を感じたら、確実に再確認して対処すべきだったのに、タイムプレッシャーに飲み込まれてしまった結果でした。

すぐには前向きな気持ちにはなれませんでしたが、様子を見かねた先輩から「やってしまったことは仕方ない。次に気持ちを向けて、次回やる時は完璧に」という言葉をかけられ、徐々に失敗に向き合う気持ちへシフトできたように思います。確認回数を十分に取れるスケジューリングを組めるようになったのも、この時の反省からでした。様々な便の業務を担当し、回数を重ねる中で、ミスなく迅速に対応するための引き出しも増えてきました。どんなことからも学びを取りこぼさず、貪欲に吸収したいと思っています。

振り返ると、高校時代に入っていた生徒会の経験が活きているのかなと感じます。生徒たちの意見をまとめる中で、問題や課題があれば解決策を考えて実行する。解決に至らなければ違う方法を考えて改めて対応する。今思えば生徒会活動を通じて、PDCA（計画→実行→評価→改善）のサイクルを回すことが身についていたのかなと。グラハンの仕事に就いたことで、さらに磨きがかかっていることを実感しています。

説明会で浅井さんのグラハン体験を話してほしいって、採用担当の方たちも無茶ぶりが過ぎますよ!!（笑）。でも、生徒会で大勢の生徒の前で話すことに慣れていたので、緊張することなく説明できたのは良かったかもしれません。グラハンの業務や空港での仕事に興味を持つ学生に対して、私の経験談で現場の様子が伝わるなら何なりと！

ありがとうございます！もしこの仕事に興味がある方は、ぜひ当社の会社見学に来てください。そして現場の空気を肌で感じて、気になることがあればとことん質問してください。私自身、学生時代に目指していた道とは違いましたし、入社して初めてグラハンの仕事を知りました。しかし、様々な業務を通して過去の経験が活きている喜びを噛みしめています。失敗も含めたこれまでの経験1つ1つが、新たな力となって発揮されるはずです。一人でも多くの方とお話できることを、一緒に働けることを楽しみに待っています。