学生時代から旅行が好きで、よく空港を利用していました。出発前の飛行機の窓から外を眺めていた時、ランプ（駐機場）で手を振っている人たちが目に入り、「あの人たちはいったいどんな仕事をしているんだろう？」と興味をもったのがきっかけです。後から調べて、グランドハンドリングという仕事をしているのだと知りました。

旅行好きが高じて大学では観光学を学び、空港で働きたいという気持ちは高まってました。そして、口下手なこともあって、接客スキルが重要視されるグランドスタッフより、体を動かす現場で働きたいと思うようになりました。それがグランドハンドリングだと知って、自分にピッタリな仕事だと思いましたね。カッコいい飛行機のすぐそばで仕事ができるのが魅力的でした。

最初は、手荷物・貨物を飛行機に搭載するランプ課に配属。少しずつタグ車の運転を任されることが多くなり、ソーティング場（荷さばき場）で受け取った手荷物コンテナを飛行機まで運ぶという一連の仕事に、ひたすら打ち込んでいました。

毎日、目まぐるしく動く状況についていくのがやっとで、一日一日があっという間に終わることに驚いてましたね。タグ車の運転で事故や大きな失敗をしないよう安全第一を意識するなかで、確実かつスピーディに搭載を完了させることに必死でした。あと、ランプ（駐機場）は飛行機のエンジン音が想像以上にすごいので、そこは驚いたというか、口下手とか言ってられないくらい大きな声で話す度胸がつきました（笑）。

CSSでの勤務に慣れてきた半年後に貨物課へ異動になりました。貨物課は大きく輸出と輸入に分かれますが、私は輸出貨物を担当。国内の代理店からトラック等で届く輸出用の貨物を確認し、飛行機に搭載できるよう梱包・積み付けを行っています。多いときには１日6000個以上も届く輸出貨物を、翌日の便に搭載できるよう複数のチームで手分けして対応していきます。1便のトラックで60〜100個近い貨物が載っているので、トラックの台数でいえば1日60台以上はやってきます。

はい。とても量が多いので、二人一組のチームになってチェック担当と梱包・積み付け担当に分かれて対応していきます。梱包前にチェックする項目はたくさんあって、まずは事前申請された書類内容と貨物に貼られたラベル内容に相違がないか確認していきます。貨物を乗せる便名や貨物内容、重さに誤りがあれば書類を申請し直さなければなりません。これを間違えたまま飛行機に搭載してしまうと安全運航に影響を与えてしまうほか、税関上の問題になってしまったり、間違った国に貨物が届いてしまいます。そんなことが起こらないように、目を光らせています。

ラベルチェック以外にも、貨物のダメージチェックも行います。代理店から届いた時点では小さかったパッケージの傷も、梱包や積み付け作業時、輸送中の機内で大きく広がってしまう可能性があります。それにより、貨物の中身が損傷してしまったり、一緒に積み込んだ他の貨物に影響を与えてしまうのです。食品や衣料品、精密機器や大きな機械など、セントレアから輸出される貨物はさまざま。お客様からお預かりした大切な貨物を無事に届けるためには、どんなに小さなダメージも見過ごせません。

もちろんです。ほんの少しの揺れや衝撃によって壊れてしまうような精密機器や、運搬方法に制限のある製品、医薬品など温度管理が必要な貨物は特に慎重に取り扱います。中には衝撃を感知するショックウォッチというセンサーが同梱されていることもあり、一定以上の衝撃が加わったら計測器に記録が表示されてしまうため、より一層慎重に扱っています。

貨物を輸出するうえで、最後の砦となるのが私たちのチェックです。確実に貨物を送り届けるために、ほんの少しの違和感に気づく力が必要です。貨物課での仕事を始めてから、貨物の些細な異変やラベル表示のちょっとした間違いにも気づくスキルが磨かれました。

イレギュラーな貨物が出てくる割合は大体1000個に1つ程度。毎回問題が起きるわけではありません。だからこそ、「次の荷物も大丈夫だろう」という気のゆるみは禁物。チームで作業に取り掛かることで、見逃しを防いでいます。パートナーが気づかなかったことに自分が気づけることもあるし、自分が気づかなかったことをパートナーが指摘してくれることもあります。

そうなんです。以前、パートナーがフォークリフトで積み込んでいるときに、パッケージのダメージに気づいて事なきを得たことがありました。一緒に確認した先輩も「よくこれに気が付いたなぁ！」と喜んでくれて、後日、CSS社内でより良いサービスを提供できた社員に贈られる『グッドサービス賞』を受賞することができました。

過去に通算３回受賞しましたが、『グッドサービス賞』はなかなか受賞できるものではないので、はじめて受賞した時はとても誇らしい気持ちになりました。貨物の仕事は丁寧なチェックだけでなく、スピーディーな作業も重要です。パートナーと力を合わせて作業に取り組むことで、正確かつ迅速に貨物を準備することができます。

翌日出発する便に間に合うように大量の貨物の積み付けを終わらせなければならないため、テキパキと作業を進めなければなりません。チェックを丁寧にするために作業が遅れてしまっても、時間に間に合わせるためにチェックが疎かになったり、積み付けが雑になってしまうなんて絶対にあってはならないこと。時間内に貨物のチェックを終わらせ、安全に搭載するために、パートナーと意見を出し合って作業を進めていきます。

飛行機の中に貨物を搭載するスペースは限られています。大小さまざまな貨物を全て搭載するために、工夫してパレットに積み付けていきます。また、貨物の大きさや重量によっては積み付け方を間違えると他の貨物を破損してしまうこともあり得るので、重量やサイズのバランスを考えながら安全に搭載できる方法で貨物を積み付けていきます。効率的に安全で確実な積み込みを行うために、パートナーだけでなく、チーム一丸となって作業に取り組んでいきます。

チーム内の全員とコミュニケーションをしっかりとることで、効率的に作業を進めることができます。チェック作業が早めに終われば梱包や積み付け作業に取り掛かるなど、全体の進捗を把握しながら、力を合わせて作業を進めていきます。

何か一つだけ気を付ければいいというわけではなく、視野を広く持って作業を進めなければならないのが貨物の仕事です。視野を広く持つことは貨物の仕事を進める上だけでなく、仲間と一緒に仕事を進める上でも重要になっていきます。パートナーとして一緒に作業をする先輩方を見ていると、広い視点で仕事に取り組まれていることがよく分かります。

敵わないなあと思うことだらけです（笑）。CSSの先輩方は面倒見のいい方ばかりですが、今私が考えていることまでお見通しというほどしっかり目配せしてくれる先輩もいらっしゃいます。

たまに作業中に次のタスクのことを考えていると「今、他の作業のこと考えてたでしょ？」と言われることがあるんです。そんな時はやっぱり先輩には敵わないなあと思いますね。だけど、それだけ私のことを見てくれているからこその言葉なので、ちゃんと気にかけてもらえているんだと嬉しくもなります。

面倒見がいいだけでなく、困ったときに頼れる先輩がたくさんいるのがCSSです。私も後輩に「伊藤さんって気持ちを汲んでくれるし頼りになる！」と思ってもらえるような先輩になるのが今の目標です。